1992年に発表された中西保志さんの大ヒット曲「最後の雨」
平成初期の名バラードとされ、音楽番組に中西保志さんが登場、歌唱しバズった事が多々あります。
2023年11月10日放送「ハマダ歌謡祭」で、田中樹さんが歌唱したことでも話題になっていました。
この中西保志さん「最後の雨」が評価される中、歌詞が怖いという不穏な声も聞こえてきます。
何でも、その怖いと感じさせる歌詞から「ストーカー」の匂いがするからなのだそうです。
では、音楽番組で中西保志さんが登場して歌唱するたびにバズった「最後の雨」
歌詞が怖いと言われる理由、ストーカーにまで結び付けられているしまう理由。
これら諸々について調査していきたいと思います。
正直、名バラードと言う評価に水を差す意見に怪訝な気持ちになります。
納得の行くような理由を聞かせていただきましょう。
最後の雨の歌詞が怖い?
中西保志の最後の雨が頭から離れない。
全然知らんのに… pic.twitter.com/SUJwTdedha— かねまーる (@1CiOmZW7Ep09HZ5) November 10, 2023
それでは、「最後の雨の歌詞が怖い」と言われている理由を調べてみることにしましょう。
この「最後の雨」は男性が恋人だった女性への気持ちを歌った失恋の歌です。
歌詞は、失恋してしまった相手の女性への強い気持ちが描かれています。
しかし、その歌詞表現があまりに重く、男性の女性への気持ちが異常であると感じさせるようです。
それゆえ、女性側か見ると「振った男がこんな重たい感情を持っているのは怖い」。
女性側からは「男性から怨念」にすら感じる、そういう声なのです。
まあ、そう言われればそういう歌詞ではあるのですが、ちょっと飛躍し過ぎでは。
私も1990年代から数多のヒット曲を聴いてきています。
その中で、男性の失恋の気持ちを歌った曲を数多見てきました。
「最後の雨」のような気持ちを描いたものも見てきているのです。
そんな曲たちに、いちいち「怖い」と言われてしまっては、男性はろくに失恋の歌も歌えません。
この「最後の雨の歌詞が怖い」には、どこか釈然としないものが残りました。
最後なんて言っている?
樹くんのこれはヤバいでしょ
最後の雨/中西保志
#ハマダ歌謡祭 pic.twitter.com/B8LHSfEG0J— Y_____K (@YK33096478) November 10, 2023
こちらは、冒頭で話した田中樹さんが「ハマダ歌謡祭」で「最後の雨」を歌唱したシーンです。
さて、この「中西保志さんの「最後の雨」の歌詞が怖い」の極めつけが最後の歌詞です。
これは、第1コーラスと大サビの歌詞の最後になります。
この歌詞では「強い抱いて 君を壊したい」とあります。
これを額面通り解釈すると「お前を殺したい」になります。
女性からすれば、別れた男に殺されては溜まったものではありません。
生物にとって、最悪の恐怖は「死」です。
その「死」を意識させてくるのですから、歌詞が怖いとなるのでしょう。
ただ、こういう表現は石川さゆりさんの名曲「天城越え」にもあるのですよね。
他にも、似たような表現をした歌詞を持つ曲はあります。
いちいちこういう歌詞に「怖い」と難癖をつけてられたら、失恋の歌は作れなくなります。
額面通りではなく、「比喩表現」「創作の世界観」として受け入れてほしいものです。
最後の雨の歌詞がストーカーと言われる理由を考察
最後の雨 / 浦田直也
Cover Song Project“第六弾”は中西保志の「最後の雨」。
#NowPlaying pic.twitter.com/QonVgla8IS— のぞむ(あなくん) (@anakun_nozomu) November 9, 2023
こちらは、元AAAメンバーである浦田直也さんが行っている企画の話です。
浦田直也さんはカバー企画を行っており、最後の雨をカバーしています。
さて、「最後の雨の歌詞がストーカー」と呼ばれる理由になります。
理由は今までで述べたとおりで、「男が失恋した女に強い未練を残している点」です。
ストーカーの言葉が広がったのは1997年放送のドラマ「ストーカー 逃げ切れぬ愛」。
ストーカーの役を演じた渡部篤郎さんの狂気に満ちた演技は、強烈な印象を残しました。
そこからでしょう「男が女に執着する=ストーカー」というイメージがついたのは。
中西保志さんの「最後の雨」は、そんな「男が女に執着する」を地で行っているように見えます。
これが、「最後の雨の歌詞がストーカーと言われる理由」となるのです。
これまでカバーした人は誰
「最後の雨」が発表されたのは31年も前の話です。
それでも本人が登場して歌唱すれば話題になり、更には多くの歌手がカバーをしています。
wikipediaで最後の雨をカバーした歌手としてあげられている歌手は、実に「28人」
そして、wikipediaに載っていないだけで、ライブでカバーを演奏している人。
記載漏れをされている歌手もいると仮定すると、30人以上の歌手がカバーをしていると思われます。
wikipediaに掲載されているのは、この面々です。
- 前川清 1999年、アルバム『バラードセレクション 明日に』収録
- 倖田來未 2003年、マキシシングル『Gentle Words』収録
- pony 2003年、ドラマ『窈窕淑女』主題歌(題名は<淑女へ>)
- Zero 2005年、シングル『最後の雨』収録
- 保科有里 2005年、アルバム『ブルー・パシフィック』収録
- 本多RuRu 2007年、アルバム『初心』収録
- 杏里 2008年、アルバム『tears of anri 2』収録
- navy&ivory 2009年、アルバム『泣けるほど好きな人~シングルコレクション+カバーコレクション~』収録
- つるの剛士 2009年、アルバム『つるのうた』収録
- 松原健之 2010年、アルバム『旅立つ季節に』収録
- ユン・サンヒョン 2010年、シングル『最後の雨』収録
- Boyz II Men 2010年、アルバム『COVERED -Winter-』収録
- ATSUSHI (EXILE) 2011年、ライヴDVD『Premium Live ~The Roots~』収録
- Ms.OOJA 2011年、シングル『ジレンマ 〜I’m your side〜』収録/2013年、アルバム『MAN -Love Song Covers 2-』収録
- 青木隆治 2012年、アルバム『VOICE 199X』収録
- JOY 2013年、アルバム『JOY COVERS』収録
- Acid Black Cherry 2013年、アルバム『Recreation 3』収録
- ニコラス・エドワーズ 2013年、シングル『fが歌詞(うた)になる』収録
- 杜けあき 2015年、宝塚歌劇団OGによるカバーアルバム『麗人 REIJIN』収録[4]
- 島津亜矢 2017年、アルバム『SINGER 4』収録
- ソンジェ 2020年、アルバム『男の花道~SUNGJE’S JAPANESE SONGBOOK~』収録
- 鬼龍院翔 2020年、通販限定アルバム『うたってきりりんぱ』収録
- JUJU 2020年、アルバム『俺のRequest』収録
- 走裕介 2020年、アルバム『走裕介全曲集 知床挽歌』収録
- クレイジーケンバンド 2021年、アルバム『好きなんだよ』収録
- 加藤和樹 2021年、アルバム『K.KベストセラーズII』収録
- 五木ひろし 2022年、アルバム『DREAM -五木ひろし J-POPを唄う-』収録
- 松下優也 2022年、アルバム『うたふぇち 伝わりますか』収録
有名歌手から知る人ぞ知る実力派まで、幅広い歌手にカバーされています。
それだけ、「最後の雨が名曲」であり「多くの歌手がカバーしたくなる曲」ということです。
まとめ
発売:1992年8月10日
タイアップは
1992〜1994年放送テーマ曲#日立あしたPKAN気分#あしたPKAN気分#ハマダ歌謡祭#オオカミ少年 pic.twitter.com/xWeG0VasyU— Shota (@JinmResult) November 10, 2023
随分懐かしい画像が貼られていますね。
「最後の雨」発表が1992[平成4]年ですから、タイアップ番組が懐かしいのも当たり前ですか。
というわけで、中西保志さんが音楽番組に出演し、歌唱するたびにバズった「最後の雨」
「最後の雨」の歌唱がバズったのは、中西保志さんの衰えぬ歌唱力と楽曲の賜物です。
正直、「最後の雨の歌詞が怖い・ストーカー」と言われる理由には納得がいきません。
「最後の雨の世界観」に水を差して興ざめさせる・現実に引きもどす野暮な行為です。
「最後の雨の歌詞が怖い・ストーカー」と言う事は「最後の雨と言う曲に対して冷めている」
もしくは「最後の雨という曲が嫌い」なのではないかと考えられる理由として十分なのです。
ここまで言った通りですが、「最後の雨の歌詞」がこのような評価を受けたらどうなるのか。
男性の失恋の曲などろくすぽ聞けなくなる、もしくは楽曲を送り出せなくなってしまいます。
「最後の雨の歌詞が怖い・ストーカー」と言われる理由に、私は辟易してしまうのでした。