5月28日に開催された、クラシック三冠のひとつ「日本ダービー」。
タスティエーラが、同じくクラシック三冠のひとつ「皐月賞」で2着で敗れたソールオリエンスを下し、クラシック初制覇となりました。
その中、「日本ダービー」出走直後に非業の死を遂げた競走馬がいます。
それが、「スキルヴィング」です。
競馬界での活躍が嘱望されただけに、ファンは悲しみに包まれ、競馬界としても大きな損失となりました。
では、スキルヴィングの血統はどんなものだったのでしょうか。
スキルヴィングの特徴や、期待された理由となった戦績はどれほどのものだったのでしょうか。
スキルヴィングの後継となる競走馬はいるのでしょうか。
今回は、レース中に亡くなるという悲劇に見舞われたスキルヴィングの血統や特徴。
そして、戦績や後継者について、話していくことにします。
スキルヴィングの血統や特徴は?
残念なお知らせとなりました。
日本ダービーの直線で失速し、入線後に倒れたスキルヴィングですが、急性心不全でこの世を去ったことをJRAが発表。重ね重ね残念です。ご冥福をお祈り申し上げます。#日本ダービー #スキルヴィング pic.twitter.com/VtKzUyRxZc— 日刊ゲンダイ 競馬 (@gendai_keiba) May 28, 2023
スキルヴィングは、「日本ダービー」では、ソールオリエンスに次ぐ2番人気であり、初のクラシック制覇が期待されていました。
期待された理由は、これまでの戦績もそうですが、血統にも関係があります。
競馬は「血統のスポーツ」と言われるとおり、優秀な血統である競走馬が強い傾向にあります。
スキルヴィングも父母ともに、素晴らしい教場でした。
父は、GIを実に7勝、獲得賞金は歴代2位となる約18.7億円を叩き出した名馬です。
それは「サブちゃんの孝行息子」と言われた「キタサンブラック」です。
母は、牝馬ながら24戦も出走した「ロスヴァイセ」です。
この2頭を両親に持つ「スキルヴィング」が将来を嘱望されるのも納得の血統なのです。
スキルヴィングの競走馬としての特徴は「中長距離・追い込み」です。
最後の直線で、後方から一気にまくって行く走りはまさに壮観です。
「中長距離・追い込み」の名馬では、「マンハッタンカフェ」「ゴールドシップ」がいます。
競馬で注目されるのは父母だけではありません。母親の父、つまり祖父も関係しているのです。
父母以外もすごい!
競馬界で血統として注目されるのが、母の父つまり、母方の祖父です。
母方の祖父[競馬界では母父と呼ぶ]は、こちらも優駿と称される「シンボリクリスエス」です。
シンボリクリスエスは「天皇賞・秋」「有馬記念」を2連覇、計GI4勝を果たしています。
同じGIレースを2つ、2連勝している競走馬はそうはいません。
こちらもまた、最高の血統といって間違いないのです。
スキルヴィングの戦績は?
騎手がレースの勝利の為だけに馬を叩くとか言うてる人いるけど、ルメールさんは馬の事第1にレースも捨て出来だけ負担の無いように停止、倒れた後も……
ギャンブルの道具扱いとか攻撃は間違ってるよ。
#日本ダービー
#スキルヴィング pic.twitter.com/MZ5KpgIrfu— 鬼滅の猫(🐱柱・禁柱・( ゚∀゚)o彡°柱) (@Ts2zlJxQwdRcbVw) May 28, 2023
将来を大いに期待されつつ、「日本ダービー」出走直後に死亡したスキルヴィング。
期待させた理由の一つに戦績があります。
「スキルヴィング」の生涯戦績は5戦3勝。
敗れているのは、新馬戦と日本ダービーのみです。
3勝の中には、4月29日に行われたGII「青葉賞」も含まれており、4戦目にいて重賞の勝ち星を挙げていました。
ちなみに、勝った3レースは、いずれも一番人気に推され、見事勝利しています。
ファンからの信頼もまた、非常に厚かったのです。
死亡の原因は?
スキルヴィングの死因は「急性心不全」です。
鞍上のルメール騎手は、スキルヴィングの異変に気づき、レースを捨て、スキルヴィングの体を第一に考え、速度を落としました。
しかし、ルメール騎手の戦略も虚しく、レース直後に倒れそのまま死亡しました。
レース後のスキルヴィングに寄り添うルメール騎手、そして、ルメール騎手の肩に手を置く木村哲也調教師の姿は、非常に痛々しいものでした。
スキルヴィングの後継もいるのか調査!
ヒーロー列伝NO.IF スキルヴィング pic.twitter.com/Y5cZOeuc8x
— キタサンブラックすこすこbot (@KitasanBlackbot) May 28, 2023
優駿中の優駿である「キタサンブラック」を父に持ち、ファンの期待に応え続けたスキルヴィング。
スキルヴィングの後継となる競走馬は、今後出てくるのでしょうか。
スキルヴィングの後継に関する、ファンの声を聴いてみましょう。
ファンの声
将来を期待されながらも、わずか3歳で死亡したスキルヴィング。
キタサンブラックの血統を継ぐ種牡馬としての活躍も期待されただけに、競馬界の損失は計り知れません。
競馬ファンは、同じくレース中に斃れたあの名馬と重ねて、スキルヴィングの死を悼んでいます。
スキルヴィングのゴール後の映像…
ルメールを落とさないように乗せ続けた姿が、左前脚が折れた状態で武豊を落とさないように耐え続けたサイレンススズカと被って涙が… pic.twitter.com/2aQXn9R78p— ボストン (@BostonGame777) May 28, 2023
1998年「天皇賞・秋」でレース中に前脚を骨折、そのまま安楽死の処置が取られた「異次元の逃亡者・サイレンススズカ」。
「サイレンススズカ」「スキルヴィング」が最後の力を振り絞り、鞍上を落とさなかった姿が、より多くの悲しみを運びます。
しかし、スキルヴィングが死亡したことを悲しんでばかりもいられません。
スキルヴィングの後継となる可能性を持つ競走馬について、調べてみました。
まず、スキルヴィングは現役馬なので、産駒はいません。
つまり、スキルヴィングの血を直接引く競走馬はいません。
ただ、スキルヴィングの後継となる将来の競走馬はいます。
ダービーからダービーへ。来週から2023年の2歳馬デビュー戦。余の2021年産まれの出資馬、コンセプトはレアキャラの男馬。インゼルのブラックライズ君は同年代で54頭しかいないキタサンブラック産駒。そしてノルマンディーのアレスエルピーダ君はもっと少なく18頭しかいないサトノアレス産駒。
— きっくす (@kazzkix) May 28, 2023
スキルヴィングの後継として期待されるのが、同じくキタサンブラック産駒です。
優秀な種牡馬には1年に100頭以上の産駒が出る中、キタサンブラック産駒は54頭しかいません。
その中で、スキルヴィングの後継として挙げたいのは、やはり父・母父が同じ産駒です。
スキルヴィングと同じく、父キタサンブラック・母父シンボリクリスエスの2021年産駒は以下になります。
- ダークケリー
- シュクルダールの2021
- レッドマニッシュの2021
「〇〇の2021」の産駒は、まだ競走馬名が決まっていません。
この3頭が父キタサンブラック・母父シンボリクリスエスです。
ただし、この3頭とも牝馬なのです。
牡馬に比べて、牝馬の方が戦績はどうしても下になってしまいます。
では、母父がシンボリクリスエスと同じ脚質・適正距離の種牡馬を調べてみました。
シンボリクリスエスの適正は中距離・差しでした。
では、同じく適正が母父が「中距離・差し」の産駒だったのは、以下の2頭です。
- キーパフォーマー[母父・ネオユニヴァース]
- モエレヒストリーの2021[母父・ファルブラヴ]
この2頭の母父のうち、ネオユニヴァースは皐月賞・日本ダービーとクラシック二冠を果たしています。
よって、「キーパフォーマー」が、更にスキルヴィングの後継として有力です。
ここで挙げた5頭の活躍はこれからです。
この5頭のうち、スキルヴィングがなし得なかった日本ダービー制覇をする競走馬は登場するのでしょうか。
個人的には、母父が同じシンボリクリスエス産駒の牝馬に勝ってほしいです。
日本ダービーを制した牝馬はヒサトモ[1937年]、クリフジ[1943年]、ウオッカ[2007年]の3頭のみです。
ウオッカの64年ぶりの牝馬による日本ダービー制覇は大いに話題になりました。
この大偉業をなせば、スキルヴィングのポテンシャルの証明にもなることでしょう。
まとめ
カメラマンの方から追加写真が届きました。R.I.P.#スキルヴィング#日本ダービー
撮影:下野雄規 pic.twitter.com/uTjHtjAKnh— netkeiba (@netkeiba) May 28, 2023
「サイレンススズカ」「ライスシャワー」に起きた悲劇。
そして、悲劇は繰り返され、スキルヴィングを襲いました。
今回は、そんな悲劇の競走馬スキルヴィングの血統・特徴・戦績・後継者を取り上げてみました。
タラレバになってしまいますが、スキルヴィングの血統や戦績を見ると、未来の活躍を浮かべてしまいます。
スキルヴィングの特徴を見ると、グランプリレース「宝塚記念」「有馬記念」の制覇も見えていました。
3歳にしてGI制覇という輝かしい戦績を残した可能性を持っていたと私は考えています。
スキルヴィングに感じた夢は、後継となる子たちに託されました。
スキルヴィングの遺志、クラシック制覇・GI制覇を後継者たちが見せてくれるよう、心より願っています。
スキルヴィングよ、安らかに眠ってください。